そうだ、課題、やろう。

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なぜ彼女たちは多くの人を魅了するのか。私が欅坂46に惹かれた理由。

初めて彼女たちのパフォーマンスを見たのはYoutubeだった。私はテレビを主とするメディアから情報を得ることが多いので、結成から半年以上が経過していても自分達の曲を持たず、歌番組にもあまり出演していなかった彼女たちの魅力をその時まで知らずにいた。いや、もしくは、結成後すぐに問題となった1メンバーのスキャンダルのために早々に悪いイメージを抱いてしまったせいで、彼女たちについて知ろうとすることをあえて避けていたのかもしれない。しかし、就職活動中に息抜きとしてYoutubeを見ていると、日頃からアイドル鑑賞ばかりしているせいか、おすすめチャンネルとして彼女たちの映像がトップページにアップされていた。それは彼女たちのデビュー曲として紹介されていたのだけれど、私はすぐに違和感を覚えた。これまで私が見てきた女性アイドルの曲の多くは、少女達の明るさ、元気良さ、若さをアピールするようなアップテンポなものであったように思う。まして、彼女たちは顔面偏差値が高いと評される乃木坂46の妹分。グループ結成が発表されたときも、当然、彼女たちも「可愛い清楚系アイドル」として売り出されるのだと思っていた。しかし、Youtubeで紹介されていたそのPVは、そういった私の予想を大きく裏切っていた。イギリスの軍隊をイメージして作られたという緑色の軍服のような制服を着て歌う少女達。深夜の工事中の渋谷で撮影されたというその映像は確かに暗く、さらに少女達の後方に映る大きな目の看板がさらなる不気味さを醸し出している。PVのどの瞬間を切り取っても、笑顔で歌う少女たちの姿はない。甘ったれた人間を叱りつけるような強い歌詞を口にする彼女たちの表情は殺伐としており、見ている人間を諭すような冷たさを感じさせる一方で、崇高すべき美しさを帯びていた。映像時間は、わずか4分27秒。たったの4分27秒で、私は彼女たちの虜になった。あの強い瞳を持つ彼女たちについて、もっと知りたいという欲が溢れ出たのである。

 

彼女たちの名は、欅坂46。乃木坂46に続く「坂道シリーズ」の第二弾として秋元康プロデューサーによって結成された。平均年齢は16.8歳。今が2016年ということを考えると、大半のメンバーが2000年代生まれということになる。結成日は2015年8月21日なのだが、上述したメンバーのスキャンダル発覚によってデビュー曲発表が少々遅くなってしまったらしい。(そうなの?)10月には早くも自身達の冠番組を持ち、12月には年末の歌の祭典であるFNS歌謡祭にも出演している。他にもお母様の反対を受け最終オーディションを辞退することとなったが、その後本人と運営スタッフ、お父様の説得によって特例として加入が認められたという「AKB唯一の1.5期生」と称された篠田麻里子さんのようなドラマを持つ長濱ねるさんの存在など、今までのアイドルグループにはあまり見られない数々のドラマを圧倒的なスピードで消化している彼女たちの存在は、革新的と表現するにふさわしいと思った。

 

欅坂46を語る上で欠かせないのが、やはりセンターの平手友梨奈さんの存在である。最年少の14歳とは思えない、見ている人間をゾクっとさせる程の鋭い目力。4月22日に初出場したミュージックステーションで見せた、10秒前にタモリさんと談笑していた可愛らしい笑顔を忘れさせてしまう程の切り替えの早さ。ネットで「憑依アイドル」として称されたり、PV撮影時に「絶対的な主人公が必要だった」として白羽の矢が立ったりした理由がよく分かった。

そんな彼女をセンターに据えて撮影されたPVは美しかった。まだ瑞々しい若さを持つ彼女たちが「大人たちに支配されるな」と訴えるデビュー曲に、私はただ閉口し、涙するほかなかった。それは就職活動において予め準備した志望動機をロボットのようにつらつらと話す自分に慣れてしまった時期だったからなのか、幼い少女たちが自らの人生を奮い立たせている姿に感銘を受けたからなのかは分からない。ただ、その夜はどうしても家に1人きりでぼんやりと時を過ごしていたくなくて、同じく就職活動中の友人に電話をしたら、「私も泣いた。」と言っていた。

圧倒的なパフォーマンスを見せつけられた私は、すぐ彼女たちが気になる存在になった。中でも強く興味を持ったのが鈴本美愉さんと今泉唯佑さん。「なんだ、フロントメンバーを好きになるくそミーハーかよ。」と思われるかもしれないけれど、それでも良い。過去すでにアイドルとしての活動経験や歌唱オーディションへの参加歴があり、その歌声とルックスでフロントメンバーとして存在感を発揮する今泉さんと、完璧なダンスパフォーマンスで見る人を魅了する一方で、「アイドルらしいじゃなくて、人とは違うアイドルになりたい」という言葉通り「私=栗だと思ってください。」と栗好きアイドルという新たなアイドルキャラを定着させた不思議さを持つ鈴本さんに、私は強烈に惹かれたのである。

デビュー曲『サイレントマジョリティー』ではこの2人が平手さんの両脇を挟むというフォーメーションであったが、先日発売された新曲『世界には愛しかない』では、鈴本さんだけがフロントメンバーから2列目端寄りへとポジション変更することとなった。このフォーメーション発表が行われた6月26日の『欅って、書けない?』の放送を見ながら、私は好きになったばかりの推しメンが後列になってしまったことが悲しくて悔しくて、勝手に涙した。フロントメンバーでなくなりメディア露出度が少なくなってしまうのではないかという不安もそうなのだけれど、それ以上に、今泉さんとのシンメが崩れてしまうことが悲しかったのである。歌声が美しい今泉さんと、洗礼されたダンススキルを持つ鈴本さん。この2人が絶対的存在感を放つ平手さんを挟むことで、『サイレントマジョリティー』のあの威厳は完成していると思っていたため、その形が崩れることがどうしても受け入れられなかったのである。

発売日当日に初回限定版のCD・DVDを無事に入手し、夜通しでそのMVを観た。その中の、学校の教室で撮影されたシーンで、新フロントメンバーの志田愛佳さんと鈴本さんがまるでお互いの交代劇を物語るかのように数秒間見つめ合う場面があるのだけれど、そこで鈴本さんの手を引き、彼女を教室から連れ出す今泉さんの姿を目にしたとき、またも大量の涙が頬を伝った。手を引いたのが、一緒に地元愛知へ帰省する等プライベートでも仲が良く、センターポジションを維持し続ける平手さんではなく、あえてデビュー曲でシンメの宿命を負った今泉さんであることに、切なさと儚さと、愛しさを感じたのである。

 

サイレントマジョリティー』同様、「自分の意志を貫け!」というメッセージ性を持つ『世界には愛しかない』や、平手さんがメンバー全員の手のしがらみを受けるシーンが印象的なカップリングの『語るなら未来を...』から見て取れるように、秋元プロデューサーは欅坂46をこれまでの女性アイドルとは違う「革命児」として育てていきたいのではないかと感じる。アイドルという枠組みにも関わらず曲中で笑顔を封印したり、曲中で突然歌詞ではない「台詞」を語り出したりする彼女たちの姿は、これまで私が見てきた女性アイドルとは存在の仕方が異なっている。恋人との遠距離恋愛を描いた『青空が違う』では、王道アイドルならば夢追う恋人の背中を押すはずの場面で、「遠くで暮らさなきゃいけないほど夢はそんなに大事ですか?」「寂しさ我慢しなきゃいけないほど夢はまだまだ未来ですか?」と、「夢より自分を見てほしい」という自らの気持ちを遠回しに伝えるように問いかける。21世紀の革命児たちは今後どのようなドラマを見せてくれるのか。女性アイドルに対して抱く期待をことごとく裏切ってくれる彼女たちに、今後も注目していきたい。

 

 

 

 

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